春のサンモリッツ

うっすら雪化粧のカラマツの山肌が、波のない朝の鏡に姿を映す。

少しずつ大きくなる円形の水面の淀みの先に、ぽっかり姿を見せる水鳥のお尻。

くちばしにはたった今仕留めた今日の朝食。

春のサンモリッツは人影も少なく、商店も控えめで少し寂しい。

夏を待ちわびる街には静けさがあり、朝日に輝く湖を独り占めできる穏やかな時間が優雅なひと時を演出してくれる。