日本の春が日本より先に、アルプスの麓へやってくる。レマン湖の畔に佇むジュネーブ。毎年3月になると、石畳の街並みに不釣り合いな桃色の花が咲き乱れる。
1919年の国際連盟設立から数え、約100年。日本とジュネーブの繋がりも、世代を超えた歴史となってきた。国際連合欧州本部のあるナシオンには、日本から寄贈された鐘と桜並木がある。
千鳥ヶ淵の桜並木や桜坂には到底及ばない。しかし、遠い昔から日本がここジュネーブにいた確かな歴史の足跡が、毎年この季節になると旅人の心を打つ。
4月上旬に差し掛かるころには、桜吹雪となり、夕日に葉桜が美しくなびく。その風景は、日本の春の風情すら感じさせる。