ポイント
ジャワ島のエコツーリズム最高峰はここブロモ国立公園。巨大なカルデラの真ん中には活火山が今なお音を立てて呼吸を繰り返している。カルデラ内には火山灰が堆積し、草原と砂漠を形成している。朝晩の寒暖差が激しく、日中に温められた空気はカルデラから雲を追い出し晴天をもたらす。周辺にある農村はカルデラから追い出された雲によって霧で包まれ、悪天候で水捌けの良い土地でも育つ芋などを栽培している。日が暮れて冷やされた空気はカルデラ内に雲を作り、旅人はカルデラの縁にある展望台から雲海越しに朝日を拝む。カルデラの中心にはブロモ山。その向こうにはジャワ島最高峰スメル山が見える。
マラン市街地を拠点する場合は片道2時間を要するため、日の出ツアーは真夜中の出発となる。早起きの苦手な旅人はブロモ国立公園に隣接するスカプラ村に滞在することが多い。日中のツアーは観光客も少なく、寒さや早起きといった苦難を乗り越える必要がない。「ブロモへ来て、日の出を見ないのはもったいない」という人もいるが、自然の違う側面を見るのもよい。
地元民は果敢にもスクーターの4人乗りでカルデラへ向かうが、カルデラ内で身動きが取れなくなることが多い。旅人はマランやスカプラで観光ガイドを雇い、「ジープ」で向かう。現地ではジープと呼ぶが、実態はトヨタ社製ランドクルーザーFJ40。1970年代に製造された骨董品は1リットルで4kmの燃費悪さだが、カルデラ道なき砂漠を縦横無尽に走る事ができるため、多くの観光ガイドが愛用する。山麓の村には給油場も限られており、ガラス便に入れられたガソリンを10本購入して給油する。観光ガイドを雇うのは道案内のためだけではなく、安全と体験を買う意味も込められている。